舞台『わたしの、領分』

 大学院を卒業し、都内の療育センターに配属されたばかりの心理士・萩野は、発達障害児を中心に面談を行っている。「いつか治りますよね?」「うちの子を障害者にする気か!」親たちは口々に言いながら、救いを求める眼差しを彼女へ向ける。認識の齟齬から生じる軋轢に悩みつつも、萩野は実直に、進むべき道を探してゆく。

 ある日。定期面談を終えたはずの青年が、センターにやってくる。勤務先での生活を嬉々として語る彼に、まとわりつく悪意の存在。青年が起こした傷害事件は社会を巻き込んだ「自閉症をめぐる問題」へと発展し、偏見と差別が膨らみ続けるなか、萩野は一人「こころ」と対峙する。

 世界のあいまいさを許容して生きるための。はるかから、わたしの物語。

News

2018/7/11 公演情報の出演者を掲載しました。
2018/5/25 出演者募集オーディションのお知らせを掲載しました。
2017/11/19 次回公演情報・メンバー募集のお知らせを掲載しました。
2017/3/18 クラウドファンディングが目標金額を達成いたしました。ご支援いただきましたみなさま、まことにありがとうございました。
2017/3/16 LITALICO(りたりこ)発達ナビ様に、松澤くれはのインタビューを掲載していただきました。

2017/1/28 松澤くれはプロデュース『わたしの、領分』公演情報を公開しました。



「わたしの、領分」プロジェクト始動

今回の再演で終わることなく、今後も継続して上演していくこと、そしてそれを通して、より多くの方にこの作品に触れていただくため、クラウドファンディングも実施。多くの方のご支援のおかげで目標金額を達成いたしました。まことにありがとうございました。


公演情報

2018年版 『わたしの、領分』

日程:2018年10月18〜21日

会場:大泉学園ゆめりあホール


作・演出

松澤くれは

出演

福永マリカ
五十嵐啓輔
榎あづさ

江幡朋子
早山可奈子
三木万侑加

雨宮慎太朗(レティクル東京座)
久木田かな子(劇団物語研究所)
坪内悟
真嶋一歌(リジッター企画)
松本旭平
山田健太郎(やまだのむら)

宮原奨伍(大人の麦茶)



製作

「わたしの、領分」製作委員会


お問い合わせ

pro.watashi@gmail.com
050-5319-3493(森永)


会場

大泉学園ゆめりあホール
〒178-0063 東京都練馬区東大泉1-29-1

西武池袋線 大泉学園駅 / 北口 徒歩1分



松澤くれは

脚本家・演出家。1986年、富山県生まれ。
早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。
演劇ユニット<火遊び>代表。

芥川賞作家・中村文則氏『掏摸[スリ]』の舞台化にはじまり、『殺人鬼フジコの衝動』『天帝のはしたなき果実』『くるぐる使い』『私を知らないで』など、人気小説の舞台版を手がける。

オリジナル作品では「あなたとわたしが[We]に近づく物語」をテーマに、言葉で分かり合おうとしながらも分かり合えないことを受け入れ、それでも対話を諦めずに前を向く人間の生き方を一貫して描く。現実のような生々しい会話劇で、観客の日常につながるラストシーンを目指している。

2017年、「わたしの、領分」プロジェクトを立ち上げる。発達障害について、心理士の目を通して描いた代表作『わたしの、領分』を上演し続けるために活動中。

2018年、『りさ子のガチ恋♡俳優沼』(集英社刊)で小説家デビュー。

ごあいさつ

『わたしの、領分』は発達障害について、療育センターに勤める心理士の目を通して描いたものです。

発達障害が語られる時、当事者の子どもや親御さんの立場からが多い印象を受けます。
ですが支援する心理士もまた、現場で悩み、葛藤し、苦悩しています。
「演劇で発達障害と療育について考えるキッカケを作りたい」
「あまり語られることのなかった視点から、いま私たちの社会が抱える課題を探りたい」
10か月の取材でそう感じながら、戯曲を書き上げたのをおぼえています。

2015年に初演を迎え、その後、製作委員会を発足して2017年に再演いたしました。
クラウドファンディングには多数の支援が寄せられ、この度、再再演を実施する運びとなりました。

▲『わたしの、領分』2017年3月・再演

『わたしの、領分』は、生きにくさをテーマにした物語です。
「普通」といわれる多くの人も、日常生活で生きにくいと感じることがあるかと思います。
誰にだって悩みはあるし、対人関係では迷うことばかり。
割り切れなくて、でも時には白黒つける必要に迫られる。

▲療育センターでの、親子と心理士の面談

正常と異常。あちらとそちら。普通か特殊か。正しいか正しくないか。
区別して、差別して、無理やり境界線を引くのではなく。
ありのまま。うまくやれない自分を認めて、あいまいなまま、前を向いて生きる。

▲自閉症の子どもを持つ母親と、心理士の葛藤

これは作り手の結論や、答えを伝えるような舞台ではありません。
終わらない物語。それぞれの日常へつながるようなラストシーン。

舞台を観た人が、それまで遠いと思っていた物語に触れて、知って、考える。
今まで発達障害や療育に触れてこなかった人が、観終わった後に、初めて疑問を感じたり、新しい考えが浮かんでくる――そんなキッカケになれる作品を目指しました。

2016年7月、相模原障害者施設殺傷事件が起こりました。
あれだけの事件にもかかわらず、匿名報道の末に続報も少ないまま時が過ぎゆきます。
優生思想に基づく許されない犯罪の糾明も、いまの社会の在り方を問いただす機会もないまま、忘れられていくのでしょうか。

▲とある事件に巻き込まれる高機能自閉症の青年

大切なのは社会が変わること。
差別や偏見のない、どんな個性も自然と受け入れられる社会を築くこと。
社会が変わるにはまず、そこに暮らす一人ひとりの見方が、変わる必要があります。

演劇にできることは限られているし、社会を劇的に変えることはないかもしれません。
けれども演劇は、きっと目の前の人とは通じ合える。
だから『わたしの、領分』の再演を決めました。何度も上演を重ねると心に決めました。

▲あなたと、わたしが、[We]へと近づくために。

生きづらくても、それでも。生きていくことを選ぶため。
この「あいまいな世界」を許容して、今の自分を受け入れて。
誰かと手を取って、ほんの少しだけ前を向くことは、できないか。

面白いだけを求めるのではなく、上演する意義のある作品作りを。
演劇ファンだけでなく、同じ時代を生きる人たちと一緒に物語を共有したい。

発信し続けて、一人でも多くの「まだ出会っていないあなた」に届けるため。
2018年版『わたしの、領分』を上演いたします。


「わたしの、領分」製作委員会 会長 松澤くれは

【参考資料】

発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」
『わたしの、領分』松澤くれはインタビュー

https://h-navi.jp/column/article/35026226

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